誰かが革命を掲げ旗を突っ立てた少年はこれから始まる戦いの産物でなく戦いそのものに期待している部屋を這う妙な時間のたうちまわる空想チャンスを待つだけで一歩も動こうとしないその時を待つ獣さっきまで鳴いてた鳥はどっか飛んでった
色とりどりの花と終わらない白い壁僕等は真昼の中をただ寝そべってる誰も邪魔できない澄んだ空気遠くまで続く同じ景色をずっと見ている何も嘘くさくないし何もかも現実に起きるエンジンの音も人がぶつかる音ももう聞こえない僕らの耳は完璧を失って本当に完…
黄ばんだ透明のトタンを陽射しが突き抜けて荒波の中をくぐりぬけてゆくコンクリートの建物の中僕らは希望的快晴に包まれ前だけを向いていた町はとても平穏に見えた常に変化していく感情ついていけないスピード新しい朝 新しい命
そういえばそうだった何も変わってなかったのっぺりと頬を撫でる風の匂い川へ降りる階段もあったそこに座って煙草を吸っていた軽トラがはしるだけの幅田圃の土背の高いススキ心は拐われたんだと思ってたここに忘れてただけだった
僕は田んぼの道に立っていた風と同じ方へ歩いた用水路に泳ぐ魚を見てた誰かが遠くで話してた白線のこっち側で向こう側を見てたそこはまだ若い僕には関係ない遠い世界この日常に吹く風を僕が通る用水路沿い学校休んだ日の小さな世界何処へでも行ける灯台のあ…
音程がズレててもそれがラブソングだって事は俺には分かる答えなんかないだろうと今は思うあったならそのうち分かるだろう足が絡まってドブに落ち泥んこになってシンとした時間は今日も俺にまとわりついてるリミットも知らせずに潰れる場所には何がきても潰…
愛することでいずれ悲しみはまた我々を襲うだろうその時も隣にいよう
埃っぽい風吹く街てんびんの街脆いガンガラドンガンガラドンガンガラドンドンガンガラドン愛想笑いか生きていくには必要かくだらないそれっぽいだけだろ空っぽだろ
緑は緑である事で精一杯だっただから茶が駅のホームで言った事の意味を正確には理解できなかったそれは緑の放漫さというにはいささかセンチメンタルすぎるかもしれないが茶にとってはどちらでも大して意味のない事だったお前の声は青い青いそれは俺の青さが…
流れてきたものをよく見てみたらそれが自分に本当に必要なものだった何故今まで気づかなかったのどっちの足から踏み出そうが結局同じじゃないかぐるっと周って最期は此処に戻る誰もが幸せになりたい本当かな橋渡って駅まで新しい生き物が現れた
気の強いオバさんクソみたいな仕事凍りつくような風壊れそうな心ここにいる人と同じ数の憂鬱もう会うことのない人達駅前コンビニコロッケのパン温めてもらえたホットコーヒーはぬるかった電車は乗り過ごした急ぐ必要もない帰り道一年の半分くらい冬な気がす…
同じような毎日退屈になるよ階段を上る橋を渡る階段を降りる月だけが気付けば形を変えてる帰り道に人の靴ばかり見ていた靴にも実に様々な種類があるそんな日々に風穴を開ける何か何だっていい何かが必要だエレキギターでも彼女でもいいスマホでもいいのかも…
扉が開いて無数の人生が乗り込んでくる日が暮れてマンションの灯りがついて無数の愛と憎しみが照らし出される人差し指でバンッ何処で間違ったんだいあんたも昔は神様を信じてたでも今では道を歩くときに誰も見てないと思ってる
暖かい光の中で一瞬全てが幻のように思える悪い夢を見てただけ心の底にある闇の色どんな光も届かない沼の底の深さ悲しさを知らなかったのは夢と若さがあったからか私は今悲しい
夢を見た輝かしい時代お前と二人で空を見上げてた星を遮る雲もなかった
僕はソレを秋の匂いと呼んでたけど彼女が教えてくれたソレは金木犀の匂いだと自由な心を懐かしく思ったけど本当に今まで自由だった事があっただろうか無意識のうちに動く指先のように思考も深くなっていく潜り込んでまた飛び込んだ所に戻ってくる遅かれ早か…
集合住宅2LDKの一室窓に浮かび上がるのは生活そのものか生活のようなものかテレビのニュースがスタスタと走っていく全部僕には関係なかった煙草でも吸おかな散歩でも行こかな考えごとはもううんざりだけど切り離してもすぐに戻ってしまうまるで液体のよ…
目に見えないモノを空気だけで追っていて戸惑っていたけどやがてソレは見えた女は言う「どこから来たの⁇」男は言う「ずっと遠い所さ」女は言う「帰れるの⁇」「・・・」夢での出来事が今日も懐かしい
歌声は風にさらわれて消えたびちょびちょの想い出だけ身体中に怠く残っているオンステージ静かな草の上シャララリラリラ喧騒を遠く過去にした十月の日々は熱情を置き去りにした代償であるようだ
シーソーの右側に過去の憧憬を置いて左側に先月の結果を置くどっちが重いか明日には分かるだろう穴ぼこの心は中毒を求めているだけどこの心は秋晴れのようだ祭囃子が聞こえる思い出す秒針も怖くない正解なんか探しにいかない
革の匂いのする彼の小さな工房作業机には何に使うかも分かりっこないヘンテコな道具が沢山置いてある丁寧に折り畳まれてポストに詰められた山のようなチラシは僕の心の中を見てるみたいだ都会に雨が降って目的も変わってサッパリした気持ちになってまだ期待…
澄んだ夜空に星ひとつ淡い光線が僕の名を呼ぶ堤防にちょこんと腰掛け何を考えるべきか考えながらマールボロ吸っていた最初に手にしたアイテムを使わずにずっと大切にしてきたけれどここまできてはもう使い道もなくなってしまった女は変な水色の靴下履いて眉…
頭の先から足の先まで自分の思うままに動く気もする横になって枕に頭をつけてみて自分の腹を見れば呼吸に合わせて動いているそやけどもう何回も聴いたはずのレコードの四曲目が今になって心にズシンとくるエレベーターに乗ってボタンを押せばすぐそこに行け…
コーヒーカップに昨夜の熱を浮かべて午前の気怠さに身を寄せる網戸越しに干しっぱなしの洗濯物が揺れている近づいてくるサイレン僕の所にやってきそうだこの郊外の土地からも華やいだ街が見えるんだ気を抜いたら寒さはすぐにやってきてまた一年前と同じ空気…
音も聞こえない海底で踊るように泳ぎ太陽の光も届かない海底に永い煌めきが見えた名前がないからみんなは僕をゾウって言う僕はゾウが好きだから悪くない黒いリフレインが唸りを上げ歴史を歌い出した本当はたった二人の世界に押入れで書き上げられた歴史
軽トラの荷台に腰掛けタイヤは砂利道をひた走る何処からやってきたの何処へ帰ってゆくの野暮な事だったかもしれない向かっていくわけでもなく向かってくるわけでもなく突っ立ってるだけで季節はおのずとやってくる意味なんてないよツクツクボウシ白い空の下…
彼女のGコード集合住宅の窓の外草刈機のリズムまた長い蛇の道を振り向かずに歩いていく針がレコードの溝をなぞるように物事も上手くいけばいいのだけれど季節の境界線で窓辺に陽が射して僕は手に汗かいている
暗い雲の中に円いブルーのマンホール羽が生えたら飛んでいこう裸電球のオレンジの下にすっかりお馴染みの怠さあって塒が変わっても今も付きまとう痒さある網戸の前に立ってたあの日の自分の影に似合いの未来だ寝そべって右向いたり左向いたりしながら随分空…
橋を渡り路地を抜ける陽射しを交わして氷屋までひとっ飛び音は扉の向こう側僕だけは知ってる音を出してるのはもうこの世にはいない遠く昔の若者気付けば空は暗くなりけれど帰る気にもならなくてふらふらと通りを足元見ながら歩いてゆく
遠くの方で爆発音が聞こえた気を取られてるうちに屋根裏のハクビシンは天井を腐らしてゆく季節が変わってゆく気付けば足元の色が変わる太陽が沈むのが遅くなりあの娘との一日が長くなる公園では小学生がキャッチボールしてる自転車に乗れるようになれば新し…