nikawaru’s blog

文字と写真

2016-01-01から1年間の記事一覧

白線

裂けたデニム薄いブルー褪せたブルー喉がやられた煙草の仕業バスはいつもの6人を乗せて南の方向へゆく

エンドロール

困った顔をしたスクリーンの中の俳優次の台詞をみんな待っていただけどそれはやってこずエンドロールが流れ別れの歌が何処からか聞こえるすぐに幕は降りたそしてそれはみんなが期待していた事だった

トラック

斑な光に目を細めて倒れかけた或る日最後の車が通った道路に吹き抜けた冷たい風が肩に張り付く

夜の干物

褪せたトランクケースいつだったか大切にしていたもの溺れそうな夜をバタ足で必死に乗り越えてきた今夜、星が降って来てすべての街から町にたくさんの祈りは過ぎてゆく「空なんかどーでもいいよ」運ぶことまずは運ぶことから朝から晩まで運ぶこと朝から晩ま…

消沈

朝の長い空を給水塔の上で雨降る夕に街の下で3時間と3千円私にとって大切なのはどっちなのだろう夢も希望も待たせてるうちにずっと遠いところに歩いて行った穏やかな心地のいい秋の始まりもいつしか分からなくなるのか

憚る

地球の裏で起こる波乱暑さで乾いたワンルーム頼りにしすぎているのかバスマットを洗濯すること生きることギターの弦を張り替えること生きること宿題をすること生きること変わっていくものばかりだけど温度はそこにある触れたら熱いもの

折り返し

汗ばんだ帰り道作業着を夜風にさらす予感が予感でないことを本当は知っていた町並みが街並みに変わっただけで夏は変わらないずっと憶えてる夢も二つ目の玄関ポストも木曜日の仕事も不意に訪れるブルースも全部が夏の足跡

プラスチックサタデー

雨降り土曜日嘘ついてみたけどいつも通り見破られた赤いペーズリーのシャツ色褪せて色褪せて身に覚えのないハミングはいったい誰のもんだったんだろうあらゆる事情を絡めて自分の在り方を探る雨はしばらく続く雨雲が紡ぐハミング梅雨が本気を出して

海・66

ベランダの空き缶が雨に打たれて高い音をたててる辿ってるのは誰の足跡それともフェイクワンストライクスリーボールからの一球みたいな今日マールボロはカップ麺の中に沈んだあの町の雨の匂いをこの街で見た

聞こえる

ゆるやかな坂道を下って道なりに自転車を走らす突き当たりのタバコ屋の前の自販機で昔よく飲んだサイダーを買ってぐらついた街を抜けたところでいつまにかできた傷を見つけた夢を見ました君が僕に嘘をつく夢でしただけどもちろん優しい嘘でした

リバーシブル・春

外れた天気予報ファインダーがこっちを見てる日常の音をまるめてできるだけ小さくしてから瓶に詰めた散歩がてら珈琲飲みに何処までゆくのさ開きっぱなしの窓からは平和の風が流れ込むお日様と少し話をしたまとまんないから明日の約束をした

隙間風

白っぽい夕方が神様の思いつきで空を押しつぶしていく夢に出てきた階段足音は吸い込まれて消える必死に踏み込んで踏み切るけれども足音は透明に空が青いあゝ空が青い空が丁度の高さだ

忘れもの

思考を二分化させようとして二極化させてしまってる風は生ぬるく頬を押すベランダはからっぽ畳の上で生まれたダンス木製のローテーブルガラスコップの影想像力を引っ張り出して僕のものにするまるで絵に描いたようなまるで詩に書いたような

フリルシャツ¥900

新しい灯りを見つけたずっと大切にしてたのより今はずっと大切な灯り川沿いをガソリン満タン懐かしい春の歌たんぽぽ野球少年エンジン全開僕もこの町も変わってゆくけれど風はそのままあの頃のまま十五のままコインパーキング3分間の時限爆弾あの人のチョーキ…

暇つぶし

何をやっても間違った方向に進んでるんじゃないかという気がする夜は何処か遠くの知らない女と話がしたいもの高校一年生の匂いを運んできた夜風この道を歩いては引き返したビニールを被せられたストーブが季節の移り変わりを決定的にする

イッツ ア スモールワールド

指先で光が踊る白くて柔らかいダンスポケットをたたいてもビスケットは増えない事を知る最寄り駅まで誰かを迎えに行くそんな道で考えることは僕をだらしない顔にさせる夜をただ朝を待つためだけでなく過ごせる日は僕を何処か遠くに流していく

隙間風が歌う異国の歌通り雨を辿って明日の一部分を読む春のお祭りだだこねる子供泣き声もパズルのピース部屋に緑が欲しい四角の鉢に入れたい春は何かを育てたくなる季節

土曜日と日曜日

昨日の夜のままの格好で目が覚めた土曜の昼下がり枕元の煙草に火をつけなにも考えないで新しいジャケット身にまとい歩き煙草ふかし町を行く駅の裏の古い珈琲屋でアイツに電話をかけるのさ窓際の壁にもたれかかり消えてく飛行機雲午後3時缶ビール左手に握らせ…

世界はただの幻に過ぎない

ペンキは自分達で塗ったからムラがあって可愛いでしょ彼女、そう言ってニコッと笑った食堂では隣のサラリーマンがTVを観ながらアイツの話をしてるチッチッチッ、甘いありふれたいつもの道で色褪せたブルーの瓦で落ち方にも色々あるストンヒラヒラポトン

BOYS

レシートにくるまれた小銭雨降りの予定変更幸せが流れ着いたならまとわりついた鋼色の空気を全部かっさらってしまうそんな春風に期待して50枚のレコードとアコースティックギター14歳の春と夏を抱きかかえたまま大人になるんだ

終わらない

僕が日々に馴染むのか日々が僕に染み込むのか芝生に座った水滴はそこで産まれたみたいな顔してる擦り減らされる事と磨かれてゆく事の境目にあるのだと思う少女のステップ水溜りと黄色い長靴が見える雨は上がったみたいだけれど赤い傘は差したまま

住処

悪くなってる気はしない擦り減ってるという感じ今日の僕に夜は背負い切れず明日の準備さえできずにいる帰り道に見たトランクケース開けてみたけど空っぽだった今日会ったばかりの人の部屋は友達のおばあちゃんの家みたいに誰にもバレず懐かしく自由な学校帰…

靡く

風を待っているベランダに立って埃さえ平和に色付けしてるドアを開けておこう風通しをよくするためシャボン玉を吹こう忘れてしまわないようにあの女の耳飾りは子供の頃に読んだ絵本の王女様がつけてたのに似てた雨上がりの晴れた日曜の真昼なんてなにをする…

往来

商店街を歩くもちろん暇つぶしに古い看板常連客新聞屋60円の自販機5時に閉まる喫茶店ご自由にお持ち帰り下さいって書かれたダンボールに入れられたハンガー横道にそれよう迷ったら路地をゆけそんなに遠くへは行かないさほんのちょっと違う世界へ

別れ道

蛇口から落ちる水滴はBPM62で流し台の片手鍋に溜まっている壁にかけられたTシャツが出番を待っている遠くの国で暮らしてるもうひとりの僕今夜、夢を交換しよう目が覚めた後ちょっと笑って忘れてしまえるくらいの街が歪んで見えた歪んでいるのが僕の方かカル…

裏窓

朝焼けに描かれた水彩画音を立てる換気扇ガラス窓は何を映すほつれた釦歌声は届かなかったか春から聞いた噂が一人歩きしてるこの空気の冷たさを笑顔だけで伝えられるようなたしかに私にあった傷もなくなってしまえば人を傷つけるのか隣の男のしゃがれた声が…

絡まったシールド積み上げられた文庫本彼女のお土産テレキャスター相棒は俺の作った炒飯をうまそうに食ってる相棒は俺の作った炒飯をうまそうに食ってる封筒は玄関先で死んだフリして手続きを後回しにゴミの日を待ってる落ちていくものを懐かしい友達みたい…

ふたつとも

近所のコインランドリー洗濯が終わるまでの31分茶色い部屋変な名前の椅子はひとつ灰皿はバケツ200円で時間を買った帰ったってすることないから200円で時間を買った夕方はタイルで張られたしらばっくれてどっかに染み付いて夜になった飲むには遅かった寝るに…