湿り座
取り残された箱に
煙草くゆらして
野球中継を観るだけ
冷蔵庫には何があったっけ
久しぶりの感覚だけれど
昔とはやっぱり違って
華やかではないけれど
確かに水を吸い上げた日々が
寂しい気持ちにさせる
ヘイ毎日は続いてくぜ
人生より生き方かな
雨をもっと楽しめればいいな
ピース
君の言う通りにしよう
信頼しているから
もうすっかり空っぽになった
僕の心だから
正解なんか見つけっこない
水をあげましょう
育てましょう
大切になるでしょう
柄と模様
高いビルの赤い丸
ヘッドライトの光
冬に歩いた道を
春に車から見てる
思ってるほど悪くないだろう
目に映る景色の中に
何万もの暮らし
緑から赤に変わる
フェイクが水面に揺れる
湿り
そよ風過ぎる平日の昼間
ベランダに鳥
ありふれた日常を
騒ぐ子供達と
期待してる青年と
目隠しの大人達
ホームランが打てなくたって
勝てるんだよって
先生はおっしゃったはず
くすんだ四月の終わりに
緩んだネジを締め直して
泥のたまったバケツ蹴飛ばして
昼休みが終わって
顔を上げたら
みんなどっか行っちゃった